みなさんが少年少女だったあの夏の日に一度は手に取ったことのあるものが、
有名な漢方薬の原料になっているということをご存知ですか?

夏休みが始まる頃には様々な昆虫を見かけるようになります。
夏休みの宿題として昆虫採集をされた方もおられることでしょう。
今回は、その中でも鳴き声でひときわ夏を熱くしてくれる「セミ」を取り上げたいと思います。

実はセミも漢方薬の原料になるのです。

ただし、セミといっても実際使われるのはセミの抜け殻で、蝉退(せんたい)という名で呼ばれています。
どうですか?

子供時代に一度ぐらい触った経験はありませんか?
セミの抜け殻(蝉退)は消風散という漢方薬の元になっており、アトピー性皮膚炎などに処方され、身体の余分な熱を取ってくれる働きがあります。
このように自然界の持つ力を上手く生かし、長年使われてきた漢方薬ですが、
近年は欧米においても行き詰るガン治療の現状や、拡大する医療費圧縮などの観点からその再評価と研究が進んできています。
もちろん、最新の科学技術を駆使し研究開発された新薬が、私達の健康と寿命にもたらす貢献は計り知れませんが、

一方で化学薬品が身体に合わずそのメリットを享受できず、
そればかりか強い副作用に苦しまれる方々が多くおられることも事実です。

そういう方々にとって漢方薬が福音となるケースも今後更に増えていくのではと考えています。

 

最後に本校の付属薬店の薬剤師の先生の思い出を紹介して、おしまいにしたいと思います。
夏になると子供時代の先生は、薬剤師のお父さんから
「セミの採集はしなくていいから、セミの抜け殻をしっかり集めておいで」
というミッションを与えられたとのことです。

これぞ夏休みの思い出!!これぞ漢方薬!!

こんな素敵な思い出を持つ薬剤師のいる付属薬店にもどうぞお立ち寄りください!!
(セミの抜け殻が見られるかも・・・?)では、今年もお元気で楽しい夏をお過ごしください。
 

神戸東洋医療学院 付属治療院 川上 靖