コイの季節
雨の中に漂っていたくちなしの香りも徐々に薄れ、真夏を思わせる日差しが降り注ぐようになりました
近畿地方の梅雨明けももうまもなくではないでしょうか
この時期の旬の魚といえば鱧ですが、「鯉のぼりの季節まで」といわれる広島カープの勢いが止らないので、あえて鯉についてお話したいと思います
「川魚の長」といわれる鯉は、日本人にとっては昔からおめでたい魚とされ、祝儀の席には必ず出たものでした。
鯉の別称を六々魚と言い、中国には「六々変じて九々鱗となる」という諺があります。
「中国大陸を流れる黄河は、その源を遠く崑崙山脈の奥に発し、積石山を経て竜門に至る。奔流すこぶる急で、鯉のみが見事竜門を登り、九々鱗つまり竜になるという。」
これが、目覚ましい立身出世を指す「鯉の滝登り」や、将来、有能・有名な芸術家や役者、スポーツ選手等になるための最初に通るべき関門を「登竜門」と呼ぶ語源となった登竜門伝説です。
日本にも古くから伝えられ、鯉にあやかって男の子の節句に、鯉のぼりが立てられるようになりました。
鯉の名前の由来のひとつに「他の魚より味がよいことから“越え”の意」というものがあります。
鯉は食用魚としてだけでなく、薬用魚としての価値ももっています。中国最古の薬物書『神農本草経』にもその効用が記載されています。
日本では古くから女性が健康や体力作りのために鯉を食したという伝承があり、鯉を食べると安産になる、産後の母乳の出が良くなるというのもよく知られています。
東洋医学的には利水、消炎、通乳、止咳、安胎、退黄、補気、降気などの効能があり、むくみ、黄疸、母乳不足、血行障害、食欲不振、小便不利、倦怠感などによいとされています。
西洋医学的にも良質のタンパク質や、ビタミンB1、B2、E、A等の豊富なビタミン類、カルシウム、リン、鉄分も多く含まれ栄養価的に申し分のない魚といえます。
鯉にまつわる身近な慣用句に「まな板の鯉」があります。
まな板の上で今まさに料理されようとしている鯉のことで、相手のなすがままに任せるより仕方ない状態のたとえ、絶体絶命のピンチをいいます。
初めて鍼灸治療を受けに来られた患者さんが緊張気味に「まさにまな板の鯉ですね」と口にされることがあります(笑)
ですが、鯉の決して共食いしない習性は、日本では縁起ものとして重宝されている理由です安心して治療にお越しください
神戸東洋医療学院 付属治療院
池田 朋子
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神戸 三宮で鍼灸といえば
神戸東洋医療学院付属治療院
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