1.症状

 足の痛み・しびれは、腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・変形性脊椎症などの整形外科疾患でよくみられます。その場合、腰部から臀部、下肢、足先にかけて、症状があらわれます。
 神経が障害されている場合は、感覚神経だと、痛みや温度、触られている感覚が鈍くなる、または無くなります。運動神経だと、健側に比べて足首や指が動かしにくい、また足の筋肉が痩せて力が入りにくくなるなどの症状があらわれます。
 一過性の筋肉のコリや血行障害によって症状があらわれる場合もあります。

2.原因・機序

(1)西洋医学的原因・機序

 腰椎椎間板ヘルニア、・脊柱管狭窄症等の整形外科疾患では、画像検査(X線検査、MRI検査)上で明確な異常があり、炎症によって神経が刺激され、足のしびれを発症していると考えられています。その場合、原因になっている腰椎部分から足にかけて走行している坐骨神経の支配領域に特に強い症状があらわれます。
 多くの場合は、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)と呼ばれる病態です。一過性の筋肉のコリが原因の場合もありますが、重い物を持ったり無理な姿勢をとるなど、繰り返し筋肉に負荷がかかったり、冷えによって血行が悪い状態が続くなどが原因で、筋膜に異常が起こり、痛みやしびれを引き起こします。

(2)東洋医学的原因・機序

 東洋医学では、「通じざれば則ち痛む」といわれ、気・血(けつ)・水(すい)の流れが悪くなることで経絡が詰まり「痛み、しびれ」となります。気・血・水とは体を常にめぐっている要素で、気は体のエネルギー、血は血液およびその栄養素で、水は血液以外の体液のことを指します。
 冷えや同じ姿勢をとり続けることなどが要因となり、体のむくみや筋肉のコリなどが発生し、その結果、痛み・しびれを引き起こします。

3.鍼灸治療

(1)現代医学的鍼灸治療

 筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の場合、筋肉を触って、痛みが再現されるトリガーポイントを探します。押すと、患者さんのつらい症状が再現される引き金(トリガー)となるので、トリガーポイントといわれています。筋肉を広く触りトリガーポイントを探して、鍼を行います。
 脊柱管狭窄症・変形性脊椎症などの骨の変形は鍼でも変化しませんが、炎症部位や痛みやしびれの部位に対する治療を行うことで、症状は緩和されることが報告されています。

(2)東洋医学的鍼灸治療

 経絡の詰まりの原因を取り除き、気・血・水の流れをよくするために、患部局所とそこを流れる経絡に対して治療を行います。
 冷えが原因である場合は、お灸などを使い温めます。全身を治療することで、気・血・水の流れがよくなり経絡の詰まりも取れるので、痛みやしびれが治りやすい状態をつくります。