1.症状

 初期には目立った症状は出にくいですが、糖尿病になると血管の中は血糖値が高い状態が続き、血糖値が高い状態は血管を傷つけたり、血液をドロドロにしたり、さまざまな負担を血管に与えます。糖尿病は長い時間をかけて血管をボロボロにしていく病気であり、症状としては3大合併症が有名です。また糖尿病による動脈硬化のせいで心筋梗塞、脳梗塞が起こることもあります。糖尿病の3大合併症として、「糖尿病性網膜症」、「糖尿病性腎症」、「糖尿病性神経障害」があります。

2.原因、機序

(1)西洋医学的原因・機序

 インスリンの不足が原因で、1型と2型に分けられます。1型はインスリンの分泌量の不足で、原因は正確にはわかっておらず、遺伝や体質によるとの説が有力です。2型は糖尿病の90%以上を占め、遺伝に加えて、肥満、過食、運動不足、ストレスなどの生活要因が重なって発症する生活習慣病の一つです。

(2)東洋医学的原因・機序

 中医学では糖尿病のことを「消渇(しょうかつ)」と呼び、主な病因は飲食不節、情志失調、房事過多とされています。長期にわたって甘いものや味の濃いものを食べる生活を続けたり、情志失調のストレスが熱となったり、生まれつき虚弱な人が過度な生活をすることで陰を損傷してしまいます。からだを落ち着かせる陰が足りなくなり、熱が上昇するため、糖尿病の症状である口渇などの症状が現れると考えられています。

3、鍼灸治療

(1)西洋医学的鍼灸治療

 原則として医療機関での定期的な検査と治療を受ける必要があります。
 合併症としての「糖尿病性神経障害」に対しては、鍼灸治療が行われ、症状が緩和されることが報告されています。糖尿病の患者さんは感染を併発しやすいので、鍼治療を行う時にはしっかりと消毒する必要があります。

(2)東洋医学的鍼灸治療

 東洋医学では、古代には「消渇(しょうかつ)」を上消、中消、下消の三種類に分類していました。現代は、「お血」という血液がドロドロの状態のため、「絡(らく)」と呼ばれる毛細血管が損傷するために、目や腎臓や神経を損傷すると考えられています。食事療法や運動療法と併用しながら、全身の気血のめぐりを改善する治療法が行われます。