今回は、これからの秋の夜長に高級ブランデーを味わいましょうということではなく、私が10代の頃に聞き、人生の指針の一つとしている言葉についてお話しします。

「VSOP」は各年代に求められる事柄の頭文字を取って表したものです。

20代はVでバイタリティ(活力)を持って様々なことに取組み、30代はSでスペシャリティ(専門)のことでより専門性を高める年代です。

次の40代Oはオリジナリティ(独創性)を高め、50代以降はPでパーソナリティ(人格)を磨くことが重要であるということを示しています。

 

この言葉たちは色々な立場の人に当てはまると思いますが、私たち医療に携わる人間にとっても大きな指針を与えてくれていると感じています。

例えば、鍼灸師として社会に出たとはいえ、まだまだ未熟な20代はただがむしゃらに仕事に慣れ様々なことに挑戦し、吸収する年代です。

 

続いての30代では、20代で取り組んできた内容の専門性を高めていくことになります。

(私たちであれば鍼灸の治療技術の専門性を向上させていく時期にあたります。)

40代では、これまでの経験を踏まえ創意工夫を重ね自分流の治療法を確立させていき、50代以降は技術だけに留まらず、自分のパーソナリティを豊かにし、患者さんといかに向き合えるようになるかが大切だと思っています。

 

今、私は40代になりました。

専門性はもっと高めないといけませんし、創意工夫を重ねる必要があると感じています。

もちろんどの年代であってもバイタリティ、スペシャリティ、オリジナリティ、パーソナリティは必要だと感じますが、このようにひとつひとつの言葉を各年代に意識づけることにより、私にとっては道しるべにも、また時には、自分を見直す手がかりともなっています。

そして将来、皆さんと芳醇な美酒で乾杯できればと思います。

神戸東洋医療学院 付属治療院

川上 靖