皆さんは一日にどのくらい座っていますか? 

鍼灸院には、腰痛や肩こりを訴える方が多くいらっしゃいます。その方たちにお伺いするとパソコンでの作業やテレビやネット動画の視聴など、長時間、同じ姿勢で座っていることが多いように感じます。

 

座っていたり、横になったりする状態を「座位状態」といいます。

座位状態とは、学術的には「座位及び臥位におけるエネルギー消費量が 1.5Mets(メッツ) 以下の全ての覚醒行動」と定義されています。

Mets(メッツ)というのは、安静座位を基準とした消費するエネルギーの単位のことです。「静かに座って(あるいは寝転がって)テレビ・音楽鑑賞、車に乗る」は1Mets、「普通歩行(平地)、階段を下りる」は3Mets、「速歩(平地)、通勤・通学、ゆっくり階段を昇る」は4Metsとされています。

実は、世界20か国における平日の総座位時間の調査において、日本人の座位時間は、サウジアラビアに並び世界最長の7時間であるということが報告されています。

 

総座位時間が長いとどうなるでしょうか。

オーストラリアの研究で、1日の座位行動が長い、つまり座りすぎると寿命が短くなるという調査結果がでています。

座りすぎは、肥満や2型糖尿病、心臓血管病になるリスクが上昇すると言われており、最近では、座りすぎが、心的不安やうつ病を招くとの

報告もされています。

 

では、なぜこのようなリスクが上昇するのでしょうか。

座りすぎは、第二の心臓とも言われるふくらはぎや筋肉量が多い太ももなどの下半身を動かさないうえに、その部位の神経や血管を圧迫した状態が続きます。これにより、代謝や血流の低下がおこり、しびれ、浮腫みなどの症状を引き起こす原因となります。

また、長時間座っていることで、毛細血管壁にある「リポ蛋白リパーゼ(LPL)」が一時的に非活性化するともいわれています。LPLとは、血中の中性脂肪を分解する酵素のことで、これが働きにくくなることで脂肪が燃焼しにくくなってしまいます。

他にも、座っていると背中が丸くなりがちです。

立っていると真っすぐな背骨が、座っていると曲がった状態となり、それを支える筋肉に疲労が生じて腰痛や肩こりなどの症状がでます。また、心臓や肺が広がる空間が狭くなり、肺が広がりにくくなると、血中に取り込まれる酸素が減少し、全身や脳へ運ばれる酸素も少なくなります。血流が悪いと栄養の供給も少なくなります。

 

このように、代謝機能の低下や、血液中の酸素量の減少、血流不足による栄養供給の低下などが続いた結果、血糖値の上昇や高血圧、心臓への影響や脳の活動の低下などが起きる可能性が高まり、様々なリスクが生じるのです。

 

注意していただきたいのは、一日の運動量が足りていれば対象外というわけではないということです。日ごろから運動習慣がある人も、座っている時間が長いのならばリスクは同じです。

これらを防ぐ対策ですが、「定期的に立ち、足踏みなどをし、長時間座りすぎない」です。

座りっぱなしを避けるために、立ったまま業務を行う「スタンディングワーク」を導入する方法もありますが、正しい姿勢でなければ疲労や腰痛、肩こりなどの原因になります。

座っていても立っていても、定期的に姿勢を変えたり、足を動かしたりするなどの動作を行い、同じ姿勢を続けないようご注意ください。

 

コロナ禍になり、仕事のスタイルや生活習慣が変化した方も多いと思います。ぜひこの機会に日々の姿勢についても見直し、健康寿命を延ばしませんか。

 

 

神戸東洋医療学院付属治療院

田中 里佳

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