今回は、11月8日「いい歯の日」にちなみ、最新の虫歯発生事情についてご紹介します。

 

最近、歯科医師である小峰一雄先生の御著書を拝読し、虫歯の原因には日本で常識化している説以外に、アメリカ説やヨーロッパ説と、違うものがあることを知りました。

私たちがよく知っている虫歯になる原因は、食事で摂取した糖質が歯に付着し、そこに口腔内の細菌がくっつくと発酵し、酸が作られます。

その酸が歯の表面を溶かし、そこから虫歯菌が入り、虫歯が奥に進行していくという説です。

 

そのため日本での虫歯予防は、歯に付着した糖質を歯磨きで取り除くか、口腔洗浄剤で口の中の細菌を減らせばよいということになっています。

 

しかし、この説には矛盾があります。

虫歯は、糖が付着するはずのない歯の奥から進行するケースがあること。

また、しっかり歯磨きをしているにも関わらず虫歯になる人や、逆に一切歯磨きをしていないにも関わらず虫歯にならない人がいる、などです。

 

そこで、アメリカのロマリンダ大学が発表した説は、次のようなものです。

歯の内部から口腔内に向かって、リンパ液(間質液)が流れています。

そのリンパ液が、歯の隅々まで栄養を与えたり、ひびを修復したり、歯をクリーニングし白く保ったりする役割を果たしています。

実際、リンパ液が歯の中を流れる動画があります。

前述のように、正常時には、歯の奥から歯の表面に流れ出てくるリンパ液ですが、いくつかの理由でこの流れが逆行することがわかっています。

この現象により、歯の表面にあった虫歯菌はリンパ液の流れに乗り、歯の奥へと侵入し、虫歯を形成してしまう、というものです。

 

次に、歯のリンパ液の逆流をもたらす原因を述べます。

①砂糖の摂取 

② ストレス  

③運動不足 

④ビタミン・ミネラル不足  

⑤薬剤の服用

 

紙面も限られますので、①と②だけ説明を加えます。

 

まず、砂糖の摂取により虫歯になる理由ですが、急激に血糖値が上がる体質の人は歯の内部のリンパ液が逆流し、虫歯菌を内部に吸い込むのです。

この説では、歯の表面には虫歯は見当たらないのに、奥から虫歯が広がってしまう現象を説明できます。

 

つぎに、ストレスにより虫歯が発生する理由ですが、やはり歯のリンパ液の形態により自浄作用が低下し、虫歯になりやすくなるというものです。

これでいえるのは、糖がなくても虫歯になるということです。

 

では、ヨーロッパ説です。

アメリカ説である、歯の内部のリンパ液の流れが存在していることをベースにしています。

ただし、アメリカ説と異なるのは、虫歯になるのはリンパ液が酸性に傾いているとき、というものです。

 

リンパ液が酸性に傾くと、歯のミネラル分が溶け出し、中和しようとする緩衝作用が働きます。そのミネラルが溶け出したところに、空洞が生まれ、そこに細菌が入り込むことで虫歯を発症するというものです。

ヨーロッパの歯科医院のホームページでは「虫歯は歯磨きでは予防できません」や「6か月に一度、唾液pH(ペーハー)の測定をしています」というような文言を多くみかけます。

ドイツの論文では、唾液のpHが7.5以上のアルカリ状態の人には虫歯が一本もなく、逆に酸性のpH 6.5以下では虫歯がない人はいなかった、とあります。

 

そんな唾液のpHを、アルカリ性・酸性に傾ける原因は何でしょうか。

日本やアメリカではまだ知られていませんが、ヨーロッパでは食事内容と唾液pHは、相関性が高いという認識が広まっています。

このヨーロッパ理論であれば、歯の平らな表面や歯の先端に虫歯ができることも説明可能です。

それに加え、このヨーロッパ理論は歯周病とも深く関連しています。

 

唾液のpHを酸性にする原因は、以下のようなものがあります。

① 酸性食品の摂取  

② ストレス  

③ 乳酸を発生させる運動や労働  

④ 薬剤の服用  

⑤ 大量の紫外線照射  などです。

 

さらに詳細をお知りになりたい方は、小峰先生の御著書をお読みください。

もしくは、施術中にお尋ねいただければこの10倍の内容をお話しします。

 

 

冗談はさておき、鍼灸院には、歯の痛みを訴え来院される方が時々います。

当然、歯の痛みですので、まずは歯科医院を受診されるのですが、歯には何の問題もなく、肩こりが原因ですよと言われ、鍼灸施術を受けに来られるのです。

特に首や肩がこりすぎると、口腔内の血流が悪くなり、痛みを発症することがあります。

そのため首肩こりが軽減すると、歯の痛みは速やかに消失することがほとんどです。

ですので、このような症状の際は、鍼灸施術をお受けいただくことをお勧めします。

 

食欲の秋に関わらず、いつまでも健康な食事を摂れるように、歯を健康に保ちたいものですね。

 

 

 

神戸東洋医療学院 付属治療院

川上 靖

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