東洋医学では、8月7日の立秋からが秋ですもみじ秋は収斂(しゅうれん)の季節といわれます。植物は、冬にタネとして地下にあり、春に芽吹き、夏には花が咲きますが、秋にはタネができて落葉します。動物も、冬ごもりしていたのが春に地下から這い出して、夏は森の中を歩き回り、秋は冬ごもりに備えてたくさん食べ、毛が生えかわる季節です。

 皮膚の汗腺は、夏は緩んで汗がたくさん出て、尿は少なく濃くなります。冬は、皮膚の毛穴が閉じて汗の量は減り、尿は量が増えて透明となります。

春夏は陽を養う季節ですが、秋冬は陰を養う季節です。そんな秋は酸味のある食べものがお勧めです。また、少し身体を冷やす食べものを摂りましょう。この季節は梨や柿などのフルーツがたくさんできます。梨は、身体を冷やす効果に加えて、咳止めの効果があります。柿も身体を冷やします。柿のヘタは柿蔕湯(していとう)というシャックリの治療に使われる漢方にもなります。

 しかし、冷やしすぎるのもよくありません。例えば、昔から「秋ナスは嫁に食わすな」と言います。これは「ナスビ(茄子)は体を冷やす性質があり、女性の子宮を冷やすから」と考えられているからです。

 東洋医学では、陰と陽を合わせて、調和させることが重要とされています。ナスビは身体を冷やす陰の性質なので、身体を温める味噌と合わせて味噌田楽にすると、美味しくなります。味噌は解毒の作用もあります。

 身体を冷やすキュウリやトマトやナスビなどには熱を加えたり、身体を冷やさない工夫をしながら摂ると良いです。秋に美味しくなるダイコンや柿もそうです。ダイコンはすりおろすと身体を少し冷やし、鍋に入れて加熱すると身体を温めます。生柿は身体を冷やしますが、干し柿は身体を冷やしません。

東洋医学では、このように調理すると、食べものの性質が変わると考えています。

 

夏に暑さにやられて、「秋バテ」になる人もいます。

この場合、お勧めの食材はヤマイモです。ヤマイモは東洋医学では「山薬(さんやく)」という漢方薬で、「補気」といって気を強くする効果があり、消化をよくして食欲を出します。あっさりして精がつく食材になります。

 秋は、メランコリーの季節でもあります。少し憂鬱な感じが出やすいです。このような憂鬱感が出た時は運動を行うことで、身体の「気」というエネルギーを全身にめぐらせます。激しい運動ではなく、太極拳やヨガのような静かな動きをお勧めしますほっとした顔

暑さ寒さも彼岸までで、秋分を過ぎると少し涼しくなります。普段の生活にこういった養生を少しでも取り入れて、これからの季節に備えていきましょう。

 

神戸東洋医療学院付属治療院 早川 敏弘

 

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