骨のある話
兵庫県こちら神戸六甲の山並みでは紅葉が、またルミナリエ会場では今年も開催の準備が始まっています。
さて、最近でこそ日本でも内科、婦人科、神経科など多様な病気や症状で鍼灸院を訪ねて来られる方が増えましたが、それでもまだ多くの方は腰痛や肩こり、膝痛のように筋骨格器系の症状を訴え来院されます。
そこで今回はタイトルどおり、骨についてお話します。
では最初に皆さんに質問ですが、骨とコンクリート、どちらの強度が強いと思いますか?
実はこのことを調べた実験があります。
まず、鹿の太ももの骨と、それと同じ太さのコンクリートを用意し、それらに横から圧を加えます。
すると、コンクリートは120kgで折れるのに対し、骨は450kgの力に耐えました。
約3倍以上もの強度というのに驚かされますが、実際の骨は横からの圧力を想定しておらず、縦方向に対する力に強さを発揮するようにできています。
なんと!縦方向では1.5tの圧にも折れることなく耐えました。
しかも、人の太ももの骨は鹿より3倍太く、さらに強靱です。
この骨の強さの理由はコンクリートが無機質のみでできているのに対し、骨は無機質のリン酸カルシウムと有機質のコラーゲンとで構成されているためです。
例えば、骨がリン酸カルシウムだけでできている場合、指で押さえただけで崩れてしまいますし、逆にコラーゲンだけでできているとすれば、硬さはなくなりゴムのようにグニャグニャに曲げることができ、私たちは立つことも不可能です。
骨はこの2つの物質がうまく合わさることで柔軟性(粘り)、耐久性、強度を獲得できたのです。
例えば、短距離走の選手がスタートダッシュをするとき、選手の太ももの骨には1tもの荷重がかかります。(体重の約13倍)
そんな驚異の強さを持つ私たちの骨ですが、何色をしているかご存知ですか?
普通私たちがイメージするのは白ではないでしょうか。しかし、生きている私たちの身体にある骨は、豊富な血管が存在するせいでピンク色をしています。
そのため、骨は強靱さだけでなく、高い再生力をも持っているのです。
大人では骨の細胞は10年ですべて入れ替わり、子どもではそのサイクルはさらに短くなります。
しかし、そんな強く再生力に富んだ骨も、年齢と共に弱く、骨粗鬆症と呼ばれる状態になっていきます。
ホルモンや運動量の減少など原因はいくつかありますが、カルシウム摂取の不足もよく問題になります。
しかしながら、先程の実験の説明の中で触れたように、折れにくい骨であるためにはカルシウム同様、コラーゲンも必要ということになります。
コラーゲンはタンパク質からできています。
そのため、カルシウムだけを注意して摂るのではなく、同じようにタンパク質をしっかり含む食事を摂りましょう。
骨付きカルビ、もし歯に自信のない方は無難に小魚をどうぞ。
神戸東洋医療学院付属治療院
川上 靖