足のむくみ

患者様の施術を行う際に〝ふくらはぎが重だるく痛い〞〝むくんでだるい〞という声をよく聞きます。

むくみは身体のどの部位でも起こりますが、今回は足の重だるさとむくみ=浮腫(ふしゅ)についてお話をします。

 

まず、西洋医学的には心臓・腎臓・肝臓などの問題で起こります。

心臓の働きが悪くなると全身に血液を送りだすポンプ作用が弱まり、静脈に血液がうっ血するので、足の甲やふくらはぎの下肢末端から上にかけて腫れ始めます。

腎臓の問題で生じるむくみは、腎臓から尿を排出する機能が弱くなることが原因で、顔(特に目の周り)から始まり、次第にお腹周りや手足へと広がります。

肝臓の問題では、主に肝硬変で腹水が溜まる場合です。

 

その他には内分泌性で、クッシング症候群、月経前の浮腫、更年期の浮腫、妊娠中毒などによる浮腫があります。

 

他には、ほとんど原因が分からない特発性浮腫に分類されます。

これは、これといった疾患がなく、朝晩に足がむくみ、徐々にむくみが取れる場合は、ほとんど静脈の弁膜機能の低下が原因であったり、

リンパ管が狭くなって循環が悪い場合や、リンパ管やリンパ節の損傷によってリンパ液が排出されないことが原因で、間質液が組織に過剰に蓄積されるリンパ浮腫によるものです。

 

また、肥満によって脂肪蓄積され、体液循環が低下して生じる脂肪浮腫もあります。

長時間同じ姿勢で立っていたり座っていたりすることや、ストレスもむくみの原因になることがあります。

もし一過性ではなく、急にひどい浮腫が出たり、片足だけ腫れて痛みがある時、呼吸困難や胸の痛みを伴う時、むくみと共に熱が出たり、肌が赤くなる時は、

急性の心不全や腎不全、血栓、感染症などの可能性があるため、速やかに受診をしてください。

 

次に、東洋医学観点からお話しますと、色々な臓器の問題と気血の循環障害などから浮腫が起こると考えています。

「気」は、生命活動を維持する原動力となるエネルギーです。

「血」は、人体の各臓器・組織・器官を栄養しており、人体にとって不可欠な栄養物質であります。

「津液=水液」は、体内における各種を滋養しています。

これらは互いに依存や制約をし、助け合う関係にあります。従ってこれらのバランスが崩れた時に、浮腫が起こります。

 

また、「脾」「肺」「腎」「心」の働きがうまく出来なくなることによっても、浮腫が起こると考えています。

「脾」は水分の吸収・輸送の機能を、「肺」は水分代謝の調節にしています。特に、汗の調節や、尿を体外に排出されることに関与します。

「腎」は体内での水分の貯留・分布・排泄を調節し、「心」は血液循環、身体の各部位を滋養します。

 

東洋医学は西洋医学と違ってその内臓一つ一つの問題ではなく、それぞれの生理機能が互いに依存・制約の関係にあり、協調し合いバランスを保っています。

これらのバランスが崩れる原因は、過労・ストレス・不規則な食生活・体質的要因など、さまざまな要素によって引き起こされる可能性があり、結果的に身体がむくむと考えています。

 

そのため、東洋医学は個人の体質を考え、単に症状を緩和するだけではなく、体全体のバランスを整える施術を行います。

 

足のむくみの予防には、日常の中でいくつかのケアを行うことも大切です。

まずは規則正しい運動で血行を促し、長時間同じ姿勢を避けた方がいいです。

また、足を高く上げることもむくみを減らすのに役に立ちます。

水分を十分に取り、塩分を控えバランスの取れた食事をとることも大切です。

他には、温かいお湯に足を入れて20分ほど足湯をすると血液循環の改善に役に立ちます。

足首から膝の方向へ優しくマッサージすることもむくみ対策に良いです。

 

付属治療院ではこの冬、経絡や経穴(ツボ)・リンパへの刺激を与え、足のむくみは勿論、体の深部から健康な状態を取り戻し、リラックス効果も得られる、『経絡ドレナージュ』という新メニューが誕生しました。

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ご自身では、なかなか経絡や経穴(ツボ)・リンパへの刺激が難しいと思いますので、この期間中にぜひ施術を受けにお越しください。

 

 

神戸東洋医療学院付属治療院より

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月と陰陽

月の満ち欠けが体調に影響を及ぼすことをご存じですか。

 

東洋思想には『陰陽論』という考えがあり、世の中に存在する全てのものが「陰」と「陽」で成り立っています。

簡単に説明すると、「陰」は消極的・静的な性質、「陽」は活発的・動的な性質であることをイメージしていただければと思います。

そうなると、太陽が出ている明るい日中は「陽」、陽が沈んでからの寝静まる夜間は「陰」となります。

さらに、同じ夜でも月の満ち欠けの周期によって「陰」と「陽」に分類されるのです。

 

そして、満月の状態から欠けていき再び新月に戻るまでの期間が「陽」となります。

この周期は、平均29.5日といわれております。

 

この月の満ち欠けが人体に影響を及ぼすということは、東洋医学の古典書である『黄帝内経(こうていだいけい)』にも記載されています。

 

 

満月が近づくと、体のだるさや頭痛、イライラなどを感じる方はいらっしゃいませんか?

満月の時期は「陽」のエネルギーに満ち溢れ、心身ともに元気で活発になるといわれています。

しかし、気持ちが高ぶりすぎて興奮し、寝つきが悪くなったり、必要以上に活動的になってしまって疲労が溜まってしまうこともあります。自律神経の乱れも感じやすくなります。

体内の水分量も満たされているのですが、体のどこかに不調がある方は流れが滞ってしまい、体調に影響が出やすくなります。

体がむくみやすいという方も、影響を受けやすいタイプかもしれません。

 

このように、満月は「陽」のピークになるのですが、溜まったエネルギーを上手に巡らせることが大切になります。

軽めの運動や入浴で汗を流したり、発汗作用のある食べ物を摂ることも良いです。

 

満月が過ぎてからは、使ったエネルギーを回復させる必要があります。

引き続き入浴で血流を巡らせることは大切です。そして睡眠もしっかり取りましょう。

まだ「陽」の時期で、体は活発に動きやすくはありますが、動いた分だけ回復させることも忘れずに心がけてください。

 

 

そして、新月となり「陰」の力が強まっていきます。

身体が最も疲れやすいため、休養が必要な時期です。食欲不振、手足の冷えなどを感じることがあります。

次の満月に向けて、準備を行っていく時期になります。

血液を補うような食材を摂取したり、体を温めるようにゆっくりと湯舟につかったり、サウナでデトックスも良いといわれています。

気持ちもリフレッシュさせて、充実した気持ちに持っていきましょう。

 

 

一ヶ月にも満たない周期の中でも、体調が大きく変化していきますが、月の満ち欠けを意識して養生を行うだけで、これまで感じていた不調が減っていくかもしれません。

また、鍼灸治療では、陰陽の状態から影響を受けている身体の状態を診て、体調を整えていくことも可能です。

動き過ぎたなと感じたら早めに施術を受けることもお勧めです。

 

今年も残りあとわずかですが、12月1日が新月、12月15日が満月、次の新月が12月31日の予定です。

忙しい師走ではありますが、中旬からは活発に動けるチャンスです。

上手にバランスを取りながら、良い年末を過ごしていきましょう。

 

神戸東洋医療学院付属治療院

池邉 由実

 

 

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ウォーキング・メディテーション

わたしは、自分のアトピー性皮膚炎が鍼灸治療で劇的に良くなったことがきっかけで鍼灸師になりました。

子どもの頃から虚弱体質で、アトピー性皮膚炎や花粉症や喘息があり、一生の付き合いと覚悟していました。

それが鍼灸で劇的に改善したため、「ひょっとして、こんな私でも健康になれるんじゃないか?」と思いました。

鍼灸師も、自分で自分を治療するという動機でなりましたが、ほかにも食餌療法など、様々な健康法を試してきました。

その中で、今年ハマったセルフケアの健康法を、ご紹介させていただきます。

 

この1年ほど、ウォーキングに凝っています。

今年(2024年)の夏は猛暑でしたが、休日のたびに1日1~3時間ほど、屋外を歩いていました。

熱中症の可能性がありますから、水分やミネラルを十分とって、時速2㎞というかなり遅いペースで歩き続けます。

そして、とても良かった工夫は、“姿勢“と“呼吸“を調節してから歩いたことです。

 

まず、歩く前に姿勢の調整を行います。

 

①  イスに座り、前傾姿勢からゾンビのように立ち上がります。

  この姿勢では、やや前傾姿勢で、つま先に重心が移動します。

 

②  右足と左足で交互に、片足立ちを30秒継続します。

  やってみると分かりますが、普段よりも小指側に重心が移動し、足の裏全体で地面を感じることができます。

  歩いている最中は、片足に交互に重力がかかります。

  身体の正中線と、左足から左肩、右足から右肩の軸が整います。

 

③  手を左右に大きく振る「スワイショウ(甩手)」を行います。

  スワイショウとは気功のひとつで、腕を振り動かす動作です。

 

④  手を前後に振る「スワイショウ(甩手)」を行います。

 

⑤  手をまっすぐ頭上にあげて、下にストンと落とすのを繰り返します。

 

これらの動きを繰り返すことで、肩甲骨のなめらかな動きができて、胸郭がスムースに動きます。

肩甲骨や胸郭の位置が、前後・左右・上下で整います。

 

このように、姿勢を調整してから歩き始めます。

 

歩く際は足の裏から「気」を吸い込み、頭のてっぺんから吐き出すイメージをしながら、ゆっくりと呼吸をし、

身体の中心を仙骨や腰椎、胸椎や頭頂部などに変えながら歩きます。

意識を置く中心が変わると歩き方が自然に変わるということを、最初は感じながら歩きました。

時速2㎞で、深呼吸をして、自分の内部観察である内観をしながら歩いていると、徐々に内観ができなくなってきます(笑)。

それでも内観を続けました。

歩き始めて1時間くらいは、雑念や感情が湧いてくるのですが、そのたびに「レット・イット・ゴー」で、雑念が湧くままにしていると、

そのうち雑念や感情が湧かなくなります。

 

この状態で歩き続けると、ものすごく気持ちが良いのです。

 

アメリカでも、ヴェトナム人禅僧のティク・ナットハンが『ウォーキング・メディテーション』という本を出版しており、邦訳もされています。

禅では「経行(きんひん)」という歩行瞑想・歩行禅があったそうです。

世界中のスピリチュアルな文化にも「ウォーキング・メディテーション」があるようです。

海沿いを、何も考えずに呼吸に集中しながら歩き続けると、風に吹かれて自分がグラグラと揺れること、海のにおいの変化、魚が海の上で飛び跳ねる音が聞こえ、突然、道端のローズマリーの香りがすることなど、自分の五感が開かれていくのを感じます。

ものすごく贅沢で幸せな時間です。

 

肉体がとても疲労した状態でも、このウォーキングをすると、かなり自分が疲労回復したのが分かりました。

また、最初は内観しながら歩くことで、「ふくらはぎが張っているなー」とか「仙骨のあたりに腰痛が少しあるな」などと、自分の体調のチェックの意味でも良かったです。

その時に発見した身体のバランスの歪みを、帰宅してから自身を鍼灸で治療していました。

 

一つ気付いたことは、「身体をユルユルにして、ゆっくりとグラグラしながら動いた方が、身体が整う」「動き続けた方が、身体が楽になる」ということです。

 

猛暑のなか、3時間連続で歩いた際には、一旦立ち止まってしまうと物凄い疲労感を感じるため、「キープ・ムービング」で呼吸しながら歩き続けた方が、身体は楽であることを発見しました。

 

この『時速2㎞のウォーキング・メディテーション』は、一生継続していきたいと考えています。

自身の経験ですが、読まれた方の参考になれば、幸いです。                   

 

 

神戸東洋医療学院付属治療院 

早川 敏弘

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古代日本人からの知恵 ~私達は、こうしてパンデミックから身を守ってきた~

猛暑酷暑が続き、秋は訪れるのだろうか?と心配していましたが、神戸でも先日、金木犀の香りをやっと嗅ぐ事ができ、ホッとしています。

待ち遠しかった秋ですが、良いことばかりとは言えません。

季節の変わり目は気温差が大きくなったり乾燥したりすることで、様々な感染症が流行りやすくなります。

 

今回は「私たちの祖先が、どの様に感染症対策を行ってきたのか」を、お話しします。

 

最近読んだ 、小名木善行(オナギゼンコウ)氏の著書『奇跡の日本史』から一部を要約し、ご紹介します。

ご興味を持たれましたら、是非お読みください。

 

ここ数年、私たちは新型コロナウイルスの蔓延にさらされました。このような大規模な感染症を『疫病』と呼んできました。

人類史を語る上で『疫病』を無視することは出来ません。『疫病』の原因は、コロナ以外にもペスト・コレラ・赤痢など様々あります。

 

例えば14世紀の中国、元が滅んで明になった時に、元の人口が およそ1億3000万だったのが、3000万人ほどにまで減りました。

『疫病』により人口の8割ほどが減ったのです。この人口急減により、元は滅び北方の遊牧民に戻ったのです。

 

歴史は、繰り返します。17世紀には、明が滅び清の大帝国が生まれました。

この時、明の人口が『疫病』により 9000万人から2460万人にまで減りました。

人口の約7割が失われたのです。

 

14世紀、17世紀共にこれだけの人口が失われると、もはや食料の生産も追いつきません。

そうなると、彼らは遊牧民の土地に行き、食料を手に入れようとします。

すると、土地や食料を奪われた北方の遊牧民は怒って、中原(ちゅうげん)に攻め込み、新たな王朝を築きました。

こうして中国での王朝は、入れ替わっていったのです。

 

中国発の『疫病』は、遠くヨーロッパまで伝わり、6割の人口が失われました。

これが有名なペストによる “黒死病(こくしびょう)” です。

 

ところが、これだけ猛威を振るった『疫病』が、当時、日本には影響していないようなのです。

それぞれの時期に、日本と中国は人的交流・交易は行われていますが、日本での南北朝時代、江戸時代の文献には『疫病』の記載はありませんし、人口の減少も起きていないのです。

 

だからといって、日本に一切『疫病』が無かった訳ではありません。何度も流行しています。

幕末には “コレラ”、明治には ”スペイン風邪” または ”赤痢” などが流行りました。

しかし、人口の減少は、それぞれ10万人ほどに留まっています。

中国やヨーロッパなどのように、人口の6割や7割が失われる致命的な大流行は、少なくとも中世以降は起きていません。

 

しかし、実は日本でも『疫病』が、甚大な人口減少を引き起こしたことが記録されています。

第10代崇神天皇の御代です。

 

この時のことを、古事記は「人民尽ナン(ジンミンツキナン)」、日本書紀は「民衆の半分が亡くなった」と記しています。

2019年、東大の研究チームは日本人のDNA研究から、約2500年前、26万いた人口が、突然8万人に減少したことを明らかにしました。

研究者たちは「この人口減少は、寒冷化のため」だと説明していますが、この時期は弥生時代で稲作が奨励されており、この理由づけには無理がありそうです。

 

 

ところがこの研究結果は、古事記や日本書紀の記載内容と合致します。

古事記・日本書紀によると、崇神天皇の時代「疫病が流行り人口の大半が失われ、埋葬も間に合わなった」とあります。

 

この『疫病』の原因が、細菌やウイルスによるものだと分かったのは20世紀になってからのことです。

紀元前に於いては、神々による怒りとしか思えなかったことでしょう。

 

 

次々に人命が失われていく現状を不慮された崇神天皇は、神々に祈られ全国に多くある神社に知恵を求めました。

結果、崇神天皇は全国に多数ある神社を4つの団塊に分類整理されました。

そして、その神社が系列化されることで新しい常識が生まれました。

それが神社における『手水(ちょうず)』の作法です。

 

『手水』は穢れを払うもので、崇神天皇よりずっと昔からあるものですが、これが全国の神社に普及したのです。

この時代、仏教は伝来しておらず、人々は何かあると神社に集っていました。

そして、人は神社に集う時は必ず手を洗い、口をゆすいだのです。

すると、みるみると『疫病』が沈静化し、民衆の暮らしに平穏が戻りました。

 

先程述べた東大チームの研究によると、26万人から一旦8万人にまで減った人口は、67万にまで増えたことが分かっています。

このことは、きっと神々から認めていただいたと感じたことでしょう。

 

これ以来、日本では人々が集まる神社の入り口では、先ず手洗いと口をゆすぐことで『疫病』の大流行を防いできたのです。

今でも古い料理屋さんやお蕎麦屋さんに行くと、入り口近くに「手水や(ちょうずや)」が設置されています。

日本人が守ってきた『疫病』対策のなごりです。

 

昨今の飲食店は、トイレと手洗いが一体化して入り口付近の「手水や」は無くなりましたが、それに代わり私たちは食事の前に「おしぼり」を使うことで、その代用にしています。

また、礼法の観点からも『疫病』対策を行ってきました。

 

元々、日本人にはハグや握手などの習慣はありません。

人と対峙する際は、畳一畳分(約1.8m)ほど空け、お互いにお辞儀をします。これは、相手に唾液が掛からない距離を意味します。

それに、私たちは常に入浴し、体を清潔にし、住まいも水拭きし、衛生状態を保ってきました。

 

このような生活習慣を行ってこられたのも、「綺麗な水」のお陰です。

江戸では、川から井戸に水を引き、それを飲料水に使ってきました。

ですから、川や田んぼにゴミを捨てるような事はなく、みんなで環境を守ってきたのです。

 

このようにして、私たちは2500年という長きに渡り『疫病』から身を守ってきたのです。

 

これからも私たちは、祖先が伝えてくれた伝統を大切にするために、先ずはその歴史や伝統を学びたいものです。

それを踏まえ、新しい知識や技術を足して行くのが最善ではないかと考えています。

 

 

 

私たちが行っている鍼灸治療も同様だと思っています。

様々な感染症にも負けず、元気に過ごして行きましょう。

 

 

 

神戸東洋医療学院付属治療院

川上 靖

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秋は『憂い』の季節

残暑(猛暑)も落ち着き、やっと朝晩涼しくなり秋らしくなってきました。今年の暑さは、本当に厳しかったですね!

皆さん、体調は崩していませんか?

秋は、涼しく湿気も少なく過ごしやすいので、“食欲の秋” “スポーツの秋”など、楽しいイメージの季節ですが、

何か物悲しさや寂しさを、感じてしまうことがありませんか?

秋の夕暮れ時にたまに感じてしまうのは、私だけでしょうか? 

皆さんはどうですか?

 

今回は、秋の『憂い』についてお話しようと思います。

 

東洋医学(陰陽五行)では、私たちの感情を五志という「怒・喜・思・憂・恐」の五つに分類します。

これらの感情は、五臓という「肝・心・脾・肺・腎」によって統括されていると考えています。

五志は五臓が管理しているので、五臓がしっかり働いていれば、精神状態も安定している状態になります。

(参考図:五行色体表

 

しかし、この五臓が傷んでしまうと、五志も不安定になってしまいます。

また、五臓が健全であっても、長く感情の高ぶりが続いたり、ストレスなどの強い刺激を受けたりすると、五臓が傷つき、様々な不調を引き起こしてしまいます。

 

秋は五志における『憂い』の季節です。

人肌恋しくなったり、なんとなく気持ちも沈みがちになりやすい季節として捉えています。

そして、『憂い』を管理する五臓は『肺』とされており、肺が正常に機能している時は『憂い』の感情が優位に立つことはありません。

 

ここで言う『肺』は、臓器としての肺だけでなく、空気を取り入れる鼻・口・喉など呼吸器全般の機能を含めたものを指していて、『肺』は、全身の隅々まで『気』をスムーズに巡らせる重要な役割をもっています。

その『肺』が弱ってしまうと『気』を全身に巡らせることができません。体表面のバリア機能が弱まり、呼吸器系だけでなく、皮膚などにも不調が現れます。

例えば、“咳” ”鼻水” ”鼻づまり” ”肌荒れ”そして“風邪をひきやすくなる”など、免疫機能の低下等の症状が現れてきます。

 

また、秋は乾燥しやすい季節でもあります。

東洋医学では、秋を『燥』の季節と捉え、『燥邪』の影響を受けやすくなると考えられています。

その『燥邪』の影響を最も受けやすいのは、五臓の中では『肺』になります。この季節の『肺』は、乾燥によるダメージも受けやすい状態なのです。

身体の不調をはじめ、ふとしたことがきっかけで『憂い』の感情が強く出てしまうことがあります。

強くなった『憂い』の感情が続くと、『肺』はストレスを感じ、傷つきます。

『肺』が傷つけば、気の巡りも滞り、強い倦怠感を感じたり、気力がなくなったりと、さらに強い『憂い』の感情に支配されがちになってしまい、悪循環が生まれます。

物悲しくなったり、寂しくなったりと気持ちが沈みがちになりやすくなる為、“秋は『憂い』の季節”と言われているのです。

 

『憂い』の感情に支配されないためには、気持ちが落ち込んでも自分を責めずにしっかりと休み、深呼吸をしてゆっくりと心を落ち着けることを心掛け、不安や気持ちを家族や友達などに話したりして発散し、不安やストレスを抱え込まないことが大切です。

そして、秋は風も心地よく感じられる季節です。散歩やジョギング、サイクリングなど有酸素運動をすることで、新鮮な空気を取り込んで身体の中を巡らせましょう。

 

この心地よく吹く風は、皮膚に刺激を与えることで、「肺」の気を巡らせる機能を活性化させると言われており、気力も出て来て『憂い』の感情に支配されなくなります。

“睡眠の秋” “スポーツの秋” “食欲の秋” “読書の秋” “音楽の秋” “芸術の秋”など、楽しい秋をお過ごしください!

 

それでも、心や体調がすっきりしなければ、鍼灸治療を受けに来てみませんか。

スタッフ一同お待ちしております。 

                                  

 

神戸東洋医療学院付属治療院

井上 博之

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