ウォーキング・メディテーション
わたしは、自分のアトピー性皮膚炎が鍼灸治療で劇的に良くなったことがきっかけで鍼灸師になりました。
子どもの頃から虚弱体質で、アトピー性皮膚炎や花粉症や喘息があり、一生の付き合いと覚悟していました。
それが鍼灸で劇的に改善したため、「ひょっとして、こんな私でも健康になれるんじゃないか?」と思いました。
鍼灸師も、自分で自分を治療するという動機でなりましたが、ほかにも食餌療法など、様々な健康法を試してきました。
その中で、今年ハマったセルフケアの健康法を、ご紹介させていただきます。
この1年ほど、ウォーキングに凝っています。
今年(2024年)の夏は猛暑でしたが、休日のたびに1日1~3時間ほど、屋外を歩いていました。
熱中症の可能性がありますから、水分やミネラルを十分とって、時速2㎞というかなり遅いペースで歩き続けます。
そして、とても良かった工夫は、“姿勢“と“呼吸“を調節してから歩いたことです。
まず、歩く前に姿勢の調整を行います。
① イスに座り、前傾姿勢からゾンビのように立ち上がります。
この姿勢では、やや前傾姿勢で、つま先に重心が移動します。
② 右足と左足で交互に、片足立ちを30秒継続します。
やってみると分かりますが、普段よりも小指側に重心が移動し、足の裏全体で地面を感じることができます。
歩いている最中は、片足に交互に重力がかかります。
身体の正中線と、左足から左肩、右足から右肩の軸が整います。
③ 手を左右に大きく振る「スワイショウ(甩手)」を行います。
スワイショウとは気功のひとつで、腕を振り動かす動作です。
④ 手を前後に振る「スワイショウ(甩手)」を行います。
⑤ 手をまっすぐ頭上にあげて、下にストンと落とすのを繰り返します。
これらの動きを繰り返すことで、肩甲骨のなめらかな動きができて、胸郭がスムースに動きます。
肩甲骨や胸郭の位置が、前後・左右・上下で整います。
このように、姿勢を調整してから歩き始めます。
歩く際は足の裏から「気」を吸い込み、頭のてっぺんから吐き出すイメージをしながら、ゆっくりと呼吸をし、
身体の中心を仙骨や腰椎や、胸椎や頭頂部などに変えながら歩きます。
意識を置く中心が変わると歩き方が自然に変わるということを、最初は感じながら歩きました。
時速2㎞で、深呼吸をして、自分の内部観察である内観をしながら歩いていると、徐々に内観ができなくなってきます(笑)。
それでも内観を続けました。
歩き始めて1時間くらいは、雑念や感情が湧いてくるのですが、そのたびに「レット・イット・ゴー」で、雑念が湧くままにしていると、
そのうち雑念や感情が湧かなくなります。
この状態で歩き続けると、ものすごく気持ちが良いのです。
アメリカでも、ヴェトナム人禅僧のティク・ナットハンが『ウォーキング・メディテーション』という本を出版しており、邦訳もされています。
禅では「経行(きんひん)」という歩行瞑想・歩行禅があったそうです。
世界中のスピリチュアルな文化にも「ウォーキング・メディテーション」があるようです。
海沿いを、何も考えずに呼吸に集中しながら歩き続けると、風に吹かれて自分がグラグラと揺れること、海のにおいの変化、魚が海の上で飛び跳ねる音が聞こえ、突然、道端のローズマリーの香りがすることなど、自分の五感が開かれていくのを感じます。
ものすごく贅沢で幸せな時間です。
肉体がとても疲労した状態でも、このウォーキングをすると、かなり自分が疲労回復したのが分かりました。
また、最初は内観しながら歩くことで、「ふくらはぎが張っているなー」とか「仙骨のあたりに腰痛が少しあるな」などと、自分の体調のチェックの意味でも良かったです。
その時に発見した身体のバランスの歪みを、帰宅してから自身を鍼灸で治療していました。
一つ気付いたことは、「身体をユルユルにして、ゆっくりとグラグラしながら動いた方が、身体が整う」「動き続けた方が、身体が楽になる」ということです。
猛暑のなか、3時間連続で歩いた際には、一旦立ち止まってしまうと物凄い疲労感を感じるため、「キープ・ムービング」で呼吸しながら歩き続けた方が、身体は楽であることを発見しました。
この『時速2㎞のウォーキング・メディテーション』は、一生継続していきたいと考えています。
自身の経験ですが、読まれた方の参考になれば、幸いです。
神戸東洋医療学院付属治療院
早川 敏弘
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神戸 三宮で鍼灸といえば
神戸東洋医療学院付属治療院
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