1.症状

 花粉症の3大症状は「くしゃみ、鼻みず、鼻づまり」です。
 異物が鼻から侵入すると、その異物を外に追い出したり体内に入りにくくしたりする為の生体防御反応として「くしゃみ、鼻みず、鼻づまり」が現れますが、アレルギー反応によってそれらが過剰に発現してしまうのが花粉症の症状です。

2.原因・機序

(1)西洋医学的原因・機序
 花粉症は、スギなどの花粉(抗原)が原因となって起こるアレルギー疾患の一つです。私たちの体では、花粉が体の内に侵入してくると、その花粉(異物)に反応するIgE抗体というものが作られ、そのIgE抗体は肥満細胞の表面に付着します。再び侵入してきた花粉がIgE抗体に結合すると、肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が分泌されることで、鼻や目などの粘膜に炎症が起き、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ・充血などの症状が出てきます。
 スギ花粉症は冬の終わりから春にかけて、毎年、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりなどの症状で多くの人を悩ませていますが、日本ではスギのほかにもヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなど約50種類の植物が花粉症を引き起こすとされています。

(2)東洋医学的原因・機序

 花粉症は東洋医学では「鼻鼽(びきゅう)」のカテゴリーに入ります。鼻鼽とは、冷えた水分が停滞した状態で、鼻水などアレルギー性鼻炎の症状でよく見られます。
 透明な鼻水は、「風寒(ふうかん)」といって、冷たい風にあたることで起こりやすいです。体質的に、冷たい物を飲みすぎたり食べ過ぎたりすることで胃が冷えて、「水飲(すいいん)」という冷たい水が体内にたまった状態と考えられます。

3.鍼灸治療

(1)現代医学的鍼灸治療

 花粉症によって現れている症状を緩和させる治療として、主に局所である鼻や目に直接効くツボを使用していきます。それにより鼻水や鼻づまり、目のかゆみを抑えることができます。
 目鼻に近い「印堂」「晴明」「鼻通」「迎香」などのツボがこれに該当します。

(2)東洋医学的鍼灸治療

 花粉症の症状そのものを出さなくする体質改善の治療として、全身を調整し、過剰になった免疫機能を抑え、自然治癒力を高めて花粉アレルギーに負けない身体作りを目指します。
 督脈と足太陽膀胱経、足少陽胆経や足陽明胃経という経絡を通すことを中心に治療します。「風池」「大椎」「肺兪」「脾兪」「胃兪」「命門」「中脘」「関元」「合谷」「外関」「足三里」「三陰交」「太白」などが代表的なツボとなります。
 花粉が飛散する時期だけではなく、長期的に体質改善をはかります。

 このように、同じそれぞれの目的に応じて、使うツボも変化させていきます。