躓く石も縁の端
4月に入り、桜の花も次々に咲き、春の訪れを感じられるようになりました。
新年度が始まり、新しい職場や学校など新しい環境に身を置かれている方もいらっしゃると思います。
寒暖差の影響に加えて、ストレス過多により自律神経が疲弊し、体調不良を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方々へ、治療を受ける側でも良し鍼灸師になる側でも良し、恐れることなく鍼灸の世界へ一歩踏み出されることを心からお勧めします。
さて、現在放映中の大河ドラマを見ている方はいらっしゃいますか?
3月ごろから、遊女瀬川の身請けの話になり、鳥山検校という人物が登場しています。
このブログが掲載される頃には、江戸幕府により取り締まりが行われ、捕まっているころかと思います。
検校(けんぎょう)というのは、当道座という男性視覚障害者の組合の中で、最も位の高い指導者的な立場に当たる人につけられた役職名です。
高利貸しや音楽、鍼灸などの職業分野の最高位の人達で、江戸時代で有名なのは、鳥山検校、八橋検校、杉山検校などです。
なかでも、私たち鍼灸師が必ず教科書で学ぶのが、杉山検校です。
杉山検校は、杉山和一という名前で、現在日本で主流となっている鍼の打ち方を生み出した日本の鍼灸を学ぶ上では必要不可欠な人です。
日本の鍼の刺し方は、鍼を鍼管(しんかん)という管の中にいれ、管の上からはみ出た鍼の頭の部分を叩いて刺す、「管鍼法」という方法です。
この鍼管を使う技術を生み出したのが、杉山和一です。
また、世界で初めて視覚障害者のための鍼灸学校を設立したのも、杉山和一だと言われています。
杉山和一は、5代将軍 徳川綱吉の鍼治療を行い、その功績により本所一つ目に土地を拝領し、弁財天の社を建立しました。
その社が、東京都墨田区の江島杉山神社です。
当初、杉山和一は鍼の技術に乏しく、その上、なかなか上達しなかったそうです。
そのため、長く学んでいた師匠にも破門され、次の生き方を考えるため江ノ島弁天の岩屋にこもり断食修行を行いました。
その満願の日に、石に躓き、そのとき足に刺さった筒状になった椎(しい)の葉に松葉が包まれていたことに着想を得て、管を使った鍼の打ち方を発明しました。
その後、さらに鍼術を学び、鍼の名人として名を馳せるようになり、最後は将軍のお抱え鍼師になりました。
管を使った鍼の打ち方の発想を得たのが、弁財天の思し召しと感じた杉山和一は、深く弁財天を信仰するようになり、江島杉山神社には弁財天が祀られているのです。
ちょうど今年は蛇年です。
白蛇は弁財天の使いとして崇められており、古くから金運、開運、豊穣をもたらす縁起の良い生き物です。
もし、お暇があれば、江島杉山神社へ金運向上の旅へ行かれてはいかがでしょうか。
そして、石に躓かなくても、疲れた体の回復に、これもご縁と思ってぜひ鍼灸院へもお寄りいただければと思います。
神戸東洋医療学院付属治療院
田中 里佳
********************
神戸 三宮で鍼灸といえば
神戸東洋医療学院付属治療院
********************