読書の秋で五感を鍛えましょう
今年の夏は猛暑だったにも関わらず、10月に入り急激に気温が下がりました秋の雰囲気を感じることなくあっという間に冬を向かえてしまうのではないかと不安になってきます
ですが「○○の秋」という言葉があるように、短い秋を楽しみたいですね
私の場合は、今年は「読書の秋」です
先日、各ノーベル賞が発表されましたノーベル文学賞の受賞者が日系の作家だったことでとても話題になりました。私が今読み続けている本は、残念ながら今年もノーベル文学賞の受賞は逃してしまいましたが世界にもファンが多い日本人作家の長編です
彼の作品は読んでいるだけで情景が目に浮かび、その世界観に引き込まれてしまいます。時には小難しい言い回しのある彼の作品ですが、不思議と頭の中がスッキリとした感覚になります
就寝前に読むことが最近の日課です
実際に本を読んでいると、その世界に入り込むことで感情も研ぎ澄まされていくように感じます感情とは、「見る」「聴く」「嗅ぐ」「触る」「味わう」という五感から情報を受け入れて、判断し、環境に適応した行動の選択ができるようになるためにあります。言い換えれば、直感力が増すということです
五感は脳に直結するセンサーなので、脳が成長し活性するためには五感を使い続けることが重要です
同じような環境で日々過ごしていると、それが当たり前になってしまいます。それも良いことなのですが、もし大きな問題が起こったとしても心が反応しにくく、直感力も鈍ってしまっているそうです
今までと違う新しい経験をすることで、五感という能力が鍛えられ、物事の判断能力も高まるそうです。
読書であれば、本の質感、触り心地、色、重たさや分厚さ、ページをめくるときの感覚や音、紙のにおいなど、五感を刺激することが多いです
「あのビジネス本にこんなことが書いてあった」など本から得た情報を、五感を頼りに記憶から引き出すことがありますが、それだけではなく本を読むこと自体そのものが、五感を使い、脳を鍛えるのです
最近では、紙の本だけではなく電子書籍による読書をする方が増えてきました
さらには本を耳で聞くというサービスも増えてきています
以前は視覚障害者の方向けが多かったのですが、移動中にも気軽に読める時短ツールとしてスマートフォンのアプリなどでも広まってきているようです
以前とある会社で、真っ暗闇の中で本を読み聞かせるという体験イベントが開催されました。本来の「読む」を「感じる」読書ということで、視覚以外の様々な感覚の心地良さを再認識できるイベントとして共感を呼び人気のイベントだそうです。「感じる」読書もいいかもしれませんね
最後に、この五感というのは私たち鍼灸師にとても大切なものであることを説明いたします
鍼灸治療で患者さんを診察する際に使う一つの方法として「四診」というものがあります。「四診」はそれぞれ「望診・聞診・問診・切診」に分けられ「見る」「聞く」「嗅ぐ」「触る」などの五感をフルに活用して診察を行います
「望診」は視覚を用いた診察で、体格や顔色、皮膚の色、舌の状態を見て判断します。
「聞診」は聴覚と嗅覚を用いた診察で、声の大きさや呼吸音、咳を聞き、口臭や体臭などの臭いを嗅ぎ判断します。
「問診」は患者さんから病歴や既往歴、体質、生活習慣などを聞いて判断します。
「切診」は触覚を用いた診察で、脈やお腹の状態を触って判断します。
西洋医学では血液検査や画像検査など客観的データによって病名がつけられます。ですが東洋医学では、この四診によって患者さんの体質や体力、免疫力、症状の現れ方など、様々な状態を診察していきます
一人ひとりの体質に合わせてきめ細かいオーダーメイドの治療を行う鍼灸だからこその診察方法です
きっと鍼灸師の先生方は、皆さんを診るときにはいつも以上に五感を研ぎ澄ませていることでしょう
神戸東洋医療学院付属治療院 池邉 由実
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神戸三宮で鍼灸といえば
神戸東洋医療学院付属治療院
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