今年もあちらこちらで大雨被害の報道を聞きました台風

気象がもたらす影響は様々ですが、私たちの身体への影響も少なくありません。

私たち全員がその影響を実感するわけではありませんが、天気が崩れる時に頭痛がしたり、古傷が痛む人もいます。他にも眩暈や体の怠さを訴えるケースもあります。

このように気象の影響により起こる体の不調を『気象病』と言います。

 

今回は、この気象病に関するアレコレを取り上げます。

気温差や湿度の状態などによっても体調を崩しますが、全ては解説できませんので気圧と身体の関係に絞ってお話します。

 

さて、患者さんの中には、台風がここ神戸からはるか遠い沖縄の海上にある時から体の不調を訴える方がおられます。

それも、実は気圧が関わっていると考えられます。

 

それについて解説するために、まず気圧のことから説明いたしますひらめき

 

私たちの身の回りには常に空気が存在しますが、通常あまり感じることはありませんよね。けれど、空気は(窒素・酸素・二酸化炭素など)しっかり重さを持っています。

この空気は、その場所やその時々により密度を変えます。密度の濃い状態を高気圧、薄い状態を低気圧と呼んでいます。

 

高気圧は空気の粒が沢山詰まっている状態で、低気圧は空気の粒がまばらで少ない感じです。そして空気の粒は冷やされると凝縮し気圧は高く、逆に暖められると膨張し気圧は低くなります。

空気の粒が詰まった高気圧は、空気の粒がまばらな低気圧に向かい空気の流れを生みます。これが風の吹くメカニズムです。

台風報道でよく聞く「9百何中hPa(ヘクトパスカル))」と言っているhPaは気圧の状態を表す単位です。地上の平均気圧は1013hPaとされていますので、台風は低い気圧ということですね。

それでは何hPa以上が高気圧?逆に何hPa以下が低気圧になるかご存知ですか?その答えは、「無い」というのが正解です(笑)

驚かれるかもしれませんが、絶対的基準値はないのです。その地域のその時の平均的な気圧より、高いか低いかによって決められています。

 

空気に重さがあると前述しましたが、例えば1013hPaで1㎡あたり10tの重さがかかっています。

1㎡は小学3~4年生の体表面積の大きさに相当します。大人では2㎡ほどの体表面積になります。子どもでは1台1tの車が10台、大人では約20台のしかかっているということになります。

私たちは知らず知らずにこんな重圧に耐えているのです。

 

気圧は高所に上がれば上がるほど低くなります。高い山に登るとお菓子の袋の中の空気が膨張しパンパンになったり、飛行機やエレベーターが上昇する際、耳が痛くなったり詰まった感じがするのも鼓膜の内側の空気が膨張しているせいで、気圧の低下が関係しています。

 

ここまで気象病を理解していただくために、気圧について簡単に解説をしてきましたが、ようやく不調との関係についてですひらめき

高気圧・低気圧、それぞれから影響を受ける方がいらっしゃいますが、低気圧による不調を訴える方の比率が多いため、高気圧の影響については省略します。

 

一つ目の影響は、高い山に登った時のように、空気が薄まり高山病のような酸欠状態になることです。このことで頭がボーっとしたり、眠くなったり、倦怠感を覚えます。

二つ目の影響は、気圧が低くなることで今まで身体を押さえつけていた圧力が下がり、私たちの身体はお菓子の袋のように膨らみます。(実際にはお菓子の袋ほどパンパンにはなりませんよ!)

この時、体内の血管は膨張し偏頭痛を起こします。また、古傷の箇所が充血したようになることで痛みが出たり、体全体が浮腫んだりすることで倦怠感が現れます。耳の中のリンパの流れも滞り、眩暈を起こすとも考えられています。

人によってはこのような変化を一切感じず健やかに暮らせる方も多くおられますが、自律神経が失調しやすい方や水分代謝が良くない方が低気圧の影響を受けやすいように見受けられます。

 

そしてこのような方々の中には、実際に低気圧が自分たちの真上に来た時だけではなく、近々天気が崩れるという前に体調を崩す方が一定数おられます。これは現在自分のいる場所は高気圧の圏内だとしても、数時間後もしくは数日後に訪れる低気圧の場所(濃い空気から薄い空気の場所)へとすでに空気の移動が始まっていて、徐々に気圧が下がってきていることを体感しているからではないかと私は考えています。ご当人にとってはとても辛いことですが、なんて繊細な感覚でしょう。

 

鍼灸治療を含めた肝心な対策の解説は割愛致します。申し訳ありません。

興味のある方は、ブログページに新しく追加された検索機能を使って、自律神経や水分代謝を改善する内容の過去のコラムも探してみてくださいね。

 

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神戸東洋医療学院付属治療院 川上 靖  

 

 

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