近年、高齢化社会となり、また今回のコロナウイルス感染症の広がりなどをみると、どのように生きていくべきなのか考えさせられることがあります。そこで今回は養生について書きたいと思います。

「養生」を広辞苑で調べると「①生命を養うこと。健康の増進をはかること。衛生を守ること。摂生。②病気の手当てをすること。保養。」と記載されています。では、養生をどのように行えばよいのでしょうか。

 

現代でも読まれている長生き×健康の指南書に貝原益軒(かいばらえきけん)の「養生訓」があります本ひらめき

儒学者で あり、博物学者であり、教育家でもある貝原益軒は江戸時代に85歳まで生き、84歳で「養生訓」を書きました。益軒は「養生の方法を知り、健康で長生きすること」は人生を楽しむために大事なことであると述べています。この本には、その方法について、心の持ちようから食事の仕方、生活の仕方など、すべきこととすべきでないことが事細かに書かれています。

 

益軒は養生の要点として以下のように述べています。

・食べたいからといって食べ過ぎず、腹八分目でとどめて、身体に悪いものは食べないようにする。

・性欲は慎んで、生命の根源となる精気が減らないようにする。

・怒りや哀しみ、憂いや思いの感情が強くなりすぎないようにし、平常心を保ち、気持ちを和やかにし、無駄に口数を多くすることで気が減ったり、気が上がったりしないようにする。

・風・寒・暑・湿などの環境の変化に注意を払い、それ相応の対応をすることで病気にならないようにする。

・じっとしていないで身体をよく動かして、歩く。

・寝る時間でないのに寝ないで、気が巡るようにする。

(寝る時間でないときに寝ると寝るべき時間に眠れなくなる。

また食後すぐに寝ると消化器官の働きが低下し胃腸に負担がかかり、気が滞り、気の巡りが悪くなる)

 

また、益軒は完璧を望むなといいます。すべてのことは十のうち十まで良くなろうとすると、心の負担になり楽しみがなくなり、不幸もここから起こるといいます。そして、他人が自分にとって十のうち十まで良くあってほしいと思うと、他人の不足に対しても怒って咎めるので心の負担となりますあせあせ (飛び散る汗)先に述べた欲に関しても言えることですが、何事もほどほどに、中庸(ちゅうよう)を守るのが良いのです。

 

さらに、益軒は健康を保って養生をするのに極めて大切な一字があるといいます。それは「畏(おそれる)」です。この世のすべてと命を敬い、欲を畏れて慎み我慢することが大事です。畏れることで慎みの心が生まれます。「畏れる」というのは身を守る心構えを示しています。

 

養生訓には、生魚の適切な食べ方や野菜の摂り方、入浴方法、子育てに至るまであらゆることが事細かに書かれています。ここでは紹介しきれませんので、ご興味のある方は直接本を手に取っていただければと思います。

 

最後に、益軒は自分自身の欲を抑え、定刻に寝起きし、病気になるようなものを省いて適度に動いて生活すれば病気にならないと述べています。薬や鍼灸を使うのはやむをえない下策だとしています。しかし、例えば、長く同じ車に乗り続けるには日頃の乗り方も大事ですが、定期的に車の専門家によるメンテナンスが必要です。

鍼灸は病気の治療だけでなく、未病の予防も行います。そして、鍼灸師はその専門家です。ぜひ定期的なお身体のメンテナンス機関として鍼灸院にご来院いただければと願っておりますほっとした顔ぴかぴか (新しい)

 

神戸東洋医療学院付属治療院 田中 里佳

 

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