12月に入り、寒さも本格的になってきました。
街中のイルミネーションのキラキラした景色も増えてきましたが、私はそれを見て楽しんでいる人たちを横目に、なんとか寒さを耐え忍んでいます。
冬ならではのイベントで、この寒さを楽しんでいる人たちも多いですが、私はやっぱり温かいお鍋やお風呂ですね。

もうすぐ二十四節季の一つ、『冬至』です。今年は12月21日になります。
この冬至とは「一年中で最も昼が短く、夜が長い日」のことです。
冬は植物が枯れ動物は冬眠してしまうため、食料が手に入りにくくなるだけでなく、特にこの日は日照時間が短いため、生命の源である太陽の恵みも減ることから、昔の人々は生活の不安を感じ「死に一番近い日」と恐れられていました。
その厄を払うために、身体を温めて無病息災を祈るという慣習が行われるようになったそうです。
ご存じの方も多いと思いますが、冬至(とうじ)=湯治とかけて生まれた「柚子湯」が有名です。
融通(ゆうずう)が効きますようにとの願いも込められています。
柚子には血行を促進する成分や、鎮痛作用のある成分が含まれています。
更にビタミンCも豊富なので、湯につかり全身からそれらの成分を吸収することで風邪をひきにくくする効果もあります。
柚子湯以外にもかぼちゃや小豆粥を食べるなど、地域によって様々な風習が残されているようです。
かぼちゃは本来は夏の食べ物ですが、逆の寒い季節に摂ることで陽の気を補おうという東洋医学的な思想もあるようです。
漢方では「南瓜」と書かれ、栄養豊富で胃腸を強くし気力を補う作用や、ビタミンも豊富なことから美肌効果もあります。

クリスマスなどのイベントで影が薄くなってきた冬至ですが、暦の上では大事な行事の一つです。
冬ならではの風習として楽しまれてみてはいかがでしょうか。

神戸東洋医療学院 付属治療院 池邉由実