唐突ですが、バレンタインですね。

神戸の百貨店やチョコレート店はもちろんのこと、雑貨店もにぎわっています。

バレンタインチョコを沢山もらわれる方も、そうでない方も、関係なく発症する可能性がある腰痛ですが(やはり唐突ですか?)、その予防体操を、今回はバレンタイン記念でお伝えしたいと思います。

 

皆さんは腰痛体操をご存知でしょうか?

これは腰痛の発症やその増悪を予防するもので、整形外科などの待合室にあるパンフレットやポスター、またマスコミでも様々取り上げられていますので、ご覧になった方もおられることでしょう。

しかしながら、その効果については、はっきりと科学的に立証されているとは言えませんでした。

それぞれ筋肉のストレッチや筋力強化を行う体操は、しっかりと継続すれば腰痛予防効果があるということは分かっていましたが、どの体操をそして、その体操を何回行うことが科学的根拠(エビデンス)を持つかは分かっていませんでした。

そんななか最近、欧米や日本の腰痛ガイドラインの中で科学的根拠がある体操として紹介されているものがあります。

ニュージーランドの理学療法士の先生が考案した「これだけ体操」と言うものです。

今はネーミングのセンスについては論じませんが、この体操を腰を酷使する可能性の高い介護スタッフに実践してもらったところ、統計学的にも優位な効果が認められました。

その一例をまずは紹介します。

 

腰痛保有者の割合が高い高齢者福祉施設の介護士(様々な腰痛の症状を持つ)138名を対象とした研究で「これだけ体操」を行った群と行わなかった群とを比較した結果は…

 

【行った群】           【行わなかった群】

改善:43.9%            改善:16.4%

不変:49.1%            不変:70.5%

悪化:7 %             悪化:13.1%

 

になりました。

「これだけ体操」を行った群の実行度は83.1%で、習慣化できるかどうかが効果にも影響することが結果から読み取れます。

 

では、いよいよ具体的に「これだけ体操」の方法について説明します。

体操には腰を反らす方法と、腰を前かがみに曲げる方法の二種類があります。

一つ目の腰を反らす方法が当てはまる人は、普段から介護や長時間のパソコン作業、重たい荷物の持ち上げ動作など、前かがみの姿勢や動作をよくしている人です。

そのような姿勢や動作を繰り返していると、背骨の間でクッションの役目を果たしている椎間板の中心にある髄核(あんぱんの中にあるあんこのようなもの)が後方に移動し、局所のバランスを崩し、腰痛を起こすと考えられています。

そのため、このような姿勢や動作が続いた後には、軽く足を開いて立ち、両手は腰のあたりにあてて、膝を伸ばしたまま、3秒間息を吐きながら上体をゆっくりと最大限に反らしていきます。

これを1、2回行います。

 

また二つ目の腰を前に曲げる方法は、普段からハイヒールを履いて反り腰になっている人や長時間背筋を伸ばし立っていることが多い人にオススメです。

そのような姿勢の人たちは、腰椎の前弯が強くなるため先ほどとは逆で、椎間板内で髄核が前方に移動することで局所のバランスが崩れます。

体操では、椅子に座り足を開き、息を吐きながら上体を前に倒し床を向いていきます。これも3秒間を1、2回行います。

 

「これだけ体操」の利点は、とても簡単で負担の少ない体操であることです。

この体操を実践する際は、髄核を正しい位置に戻すイメージを理解し、意識しながら行うことも重要です。

今回は肉体にかかる負担により起こる腰痛に対する予防体操を紹介しましたが、精神的ストレスにより発症する腰痛の予防対策については、また機会を改めてお話しできればと思っています。

 

あ、それから、ちなみにですが私、チョコレート好きです(これはさりげなく言えたような)

 

神戸東洋医療学院 付属治療院 川上 靖