6月に博多座で中村芝翫さんの襲名披露公演があります。その演目の中に「祝勢揃壽連獅子(せいぞろいことぶきれんじし)」というのがありますぴかぴか (新しい)

「親獅子が子獅子を谷底へ突き落として、そこから自力で這い上がった強い子獅子だけを育てる」という話を文殊菩薩(もんじゅぼさつ)が住むという石橋(しゃっきょう)で狂言師が演じます。その後、親子の獅子の精が現れ、満開の牡丹の中で勇壮な首を振る(毛振り)舞いをしますぴかぴか (新しい)

 

 

 

 

この舞台では必ず牡丹の花が飾ってあるのですが、これには理由がありますわーい (嬉しい顔)

無敵と言われる百獣の王である獅子の命を脅かすといわれているのが懐中に巣食う寄生虫です。これは「獅子身中の虫」といわれる仏典から出た言葉で、どのように大きく力のあるものでも内部の裏切りから身を滅ぼすことがあるという意味で使われています。

この寄生虫は牡丹の花に溜まった夜露にあたると死ぬといわれ、そのため獅子は夜になると牡丹の下で休むのです。獅子がいるところに牡丹の花があるのはこのような理由からなのです。実はここに出てくる獅子は霊獣で、現実の獅子(ライオン)のことではありませんあせあせ (飛び散る汗)あせあせ (飛び散る汗)

 

さて、牡丹の花ですが、夜露に寄生虫を死なせる力があるかどうかはわかりませんが、その根の皮を乾燥させたものは漢方の生薬「牡丹皮(ぼたんぴ)」と言い、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「八味地黄丸(はちみじおうがん)」などの漢方に配合されています。牡丹にはペオノールという成分が含まれ、血中の熱を冷まして活かす作用があるといわれています。頭痛や月経不順、更年期障害など血行障害が原因の症状に効果があります指でOK指でOK

 

牡丹の花は、美しいが故に「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉にもなるほどです。この言葉は今でこそ美しさを形容する言葉として知られていますが、もともとは生薬の用い方を表した言葉です。

「立てば」というのは、イライラして気が立ちやすい人のことを指し、そういう人には肝の熱を下げる働きがある芍薬が入った漢方薬を処方します。

また、「座れば」は、ペタンと座っている人は腹部に血の滞りがある人で、こういう人には血流を改善する牡丹が配合された漢方を、「歩く姿」はナヨナヨと頼りなげに歩くことを指していて、心身症など精神衰弱が見られる人に精神の安定をはかる百合(びゃくごう)が入った漢方を処方すればよいということを表しているのです。

それぞれの症状にあった生薬を用いることで健康で美しい女性になれるというメッセージも含まれているのです。

 

 

さて、最近では美魔女という言葉もできるほど、美しい女性が増えてきました。見た目だけの美しさだけでなく、内側から美しくいるために漢方や鍼灸をうまく取り入れていただければと思います。慣用句として残るこの言葉に負けない愛される女性が一人でも増えるよう願っています目がハート (顔)

 

 

 

 

 

 

 

神戸東洋医療学院付属治療院 田中 里佳  

 

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